「老人ホーム見学の手順がわからない」
「老人ホームの見学で確認すべきポイントが知りたい」
気になる老人ホームを見つけたら、自分の目で見て確かめましょう。
ここでは、老人ホーム見学の手順から確認しておくべきポイントまで徹底解説していきます。
「終の棲家」になるかもしれない老人ホーム選び。
入居した後で、「もっと確認しておけば良かった」と後悔することがないように、事前に準備を万端にしておきましょう。
老人ホームの見学がなぜ必要なのか
信頼のおける知人からの紹介や、口コミの評価が高い老人ホームであっても、「自分には合わない」ことがあるかもしれません。
老人ホームに見学に行き、実際に自分の目で見て雰囲気を感じることは、とても大切です。
重要なポイントを「見逃す」ことがないように、事前にしっかりと計画を立てておきましょう。
まずは、老人ホームに見学に行く手順から解説していきます。
老人ホーム見学の手順
老人ホームの見学をする際、事前予約をしておくことはマストといえるでしょう。
施設の案内を担当する「入居相談員」は、常に待機しているわけではありません。
急な訪問をした場合、スタッフに応対してもらえないだけでなく、スタッフや入居者に迷惑をかけてしまう可能性もあります。
「普段の様子が見たい」と思うかもしれませんが、入居されている方にとって老人ホームは「我が家」同然であるため、人様のお宅にお邪魔する時と同じように、見学する際は事前に予約をとっておきましょう。
見学予約をする際の確認事項
見学の予約をする際の確認事項は、以下になります。
- 見学の日時を決める
- 訪問人数
- 交通手段(駐車場の有無)
- 試食申し込みの有無
- 重要書類の用意
①見学の日時を決める
老人ホーム側の都合がつかないこともあるため、二度手間にならないよう、候補日を3日程提示できるようにしておきましょう。
また、見学したい場所があれば、事前に相談しておくことも重要です。
例えば、浴室などは使用中に見学することができないため、当日断られることがないように予め見学スケジュールを組んでもらいましょう。
施設の清掃が行き届いているかを見極めるには、浴室を見ることをお勧めします。
②訪問人数
訪問人数は2~3人がおすすめです。
限られた時間であるため、見落としのないよう可能であれば複数人での見学をお勧めします。
また、幼児や小学生を連れて行くと、「思わぬ事故」や「見学に集中できない」など、困った事態が起きる恐れがあるため避けた方がいいでしょう。
③交通手段(駐車場の有無など)
マイカーで見学に行く場合、駐車場の確認が必要です。
公共の交通機関を使って行くことも想定して、最寄りの駅やバス停からの所要時間、ルートも調べておきましょう。
また、面会時の差し入れや外出などを想定して、近くにスーパーがないか調べておくと良いですよ。
④試食申し込みの有無
食事は楽しみの1つであり、健康管理のうえでも重要なポイントになります。
有料にはなりますが、試食ができる老人ホームもあるので、どのような食事が出されているかチェックしておきましょう。
- 好みの味付けであるか
- 適切な量であるか
- 食べやすいよう調理の工夫はされているか
- 旬の食材を使っているか
- 持病による介護食や治療食への対応は可能か
月間のメニュー表を見せてもらうと、イメージがしやすいです。
⑤重要書類の用意
入居後に、費用や契約などに関するトラブルにあわないため、見学時に「入居契約書」「重要事項説明書」「管理規定」について詳しく説明してもらいましょう。
また希望をすれば、決算書などを見せてもらうこともできます。
このような書類を見せることを快く承諾してくれない場合、安心できる施設とは言えない可能性があるため注意が必要です。
見学時のマナー
入居者にとって、老人ホームはプライベートな空間です。
生活の邪魔にならないよう節度を守りましょう。
見学時のマナーとして、以下のポイントに気をつけてください。
- 予約時間に遅れる/早く着く場合は連絡を入れる
- 大声で話さない
- 浴室や居室などに許可なく入らない
- 入居者に許可なく話しかけない
- 写真撮影をする場合、職員に許可をもらったうえで、入居者の顔や名前などの個人情報が写らないように配慮する
見学に持っていくもの
- 見学チェックリスト
- 質問リスト(確認しておきたいこと)
- 筆記用具
- カメラ
- メジャー
限られた時間に効率よく見て回るためには、チェックリストが必須です。
持っていきたい家具がある場合、事前に寸法を測っておき、居室を見学した際にイメージをしてみましょう。
老人ホーム見学の回数や時間帯のおすすめは?
老人ホームの見学は、3ヶ所以上が目安となります。
比較検討をするためなので、種類の違う老人ホームや価格帯が異なる老人ホームでは意味がありません。
ピックアップする際は、同じような条件の施設を選びましょう。
時間が足りなかった。
もう少し見てみたい。
という場合は、曜日や時間帯を変えて再度見学しましょう。
新たな発見があるかもしれません。
また、見学におすすめの時間帯は、11時〜15時です。
この時間帯では、食事の様子を見学することができるため、スタッフや入居者が普段どのように過ごしているかを確認するには、最適な時間といえるでしょう。
レクリエーションの様子を見るのもおすすめです。
その場合、予約の際にレクリエーションの時間帯を聞いておきましょう。
(スケジュール例)
11:00~12:00 質問タイム
12:00~13:00 入居者と食事(試食の申し込みをした場合)
13:00~15:00 施設内見学
老人ホームの建物・設備を確認しよう
老人ホームには、居室である専用スペースと食堂やトイレ、浴室といった共用スペースがあります。
居心地の良さや使い勝手、介護度が進行しても対応できる設備や環境が整っているかなどを確認しておくことは重要です。
以下、公益社団法人全国有料老人ホーム協会が作っている「有料老人ホーム選び方マニュアル」の見学のチェックポイントです。
【居 室】
- 間取りの使いやすさ・設備
- 採光・騒音・通気・臭気・清掃状況
- 緊急通報装置の位置
【設 備】
- 段差や手すりの有無
- 廊下幅、エレベーターの広さ
- 共用施設の充実
- 耐震、防火設備等
- 建物の衛生面(清掃状況、臭気、騒音等)
老人ホームのスタッフの雰囲気
入居者の雰囲気よりも、働いているスタッフの雰囲気に着目しましょう。
玄関に入った瞬間の第一印象も大切です。
たとえば季節を意識した飾り物や、掲示板に貼られた和気あいあいとした写真、レクリエーションで作った品などは飾られているでしょうか。
このようなスタッフの工夫によって、日常の様子や温かい雰囲気を感じることができます。
また、定期的な研修や新人教育など、教育体制も重要なポイントです。
スタッフの雰囲気は「老人ホーム」そのものの雰囲気に直接影響するため、しっかりと確認をしておく必要があります。
教育体制や離職率についても見学担当者に質問をするといいかもしれません。
老人ホームのサービス内容を把握しておくのがポイント
必要なサービスを適切に受けることができるのか、入居する老人ホームのサービス内容を把握しておくことは重要なポイントです。
老人ホームが提供する以下の3つのサービスについて、それぞれ確認しておきたいポイントを紹介します。
①介護サービス
- 介護サービスを提供する職員体制
- 夜間の職員配置
- 安否確認や状況把握の方法
- 認知症やリハビリが必要になった場合の対応
- 終末介護や看取りの対応
- 入退院時や通院の付き添い
- 機能訓練
日中は看護師がいても、夜間は介護士だけで対応している老人ホームは多いです。
夜間の緊急時の対応方法についても確認しておきましょう。
また、認知症や介護度が重くなった場合、終末介護や看取りで医学的な処置が必要になった場合は、対応を断られることがあるので注意が必要です。
②医療サービス
- 健康相談(訪問診療、健康診断など)
- 服薬管理
- 医療機関との連携、緊急時の対応
協力医療機関について、診療科目や協力内容を確認しておきましょう。
また、近隣の病院と緊急時の救急搬送に対応可能な協力関係ができているかも重要です。
入院となった場合、サインが必要な病院の書類関係は、老人ホームの職員ではできません。
③生活支援サービス
- フロントサービス(来訪者の受付など)
- 家事サービス(居室の清掃、洗濯など)
- 代行サービス(買い物、行政手続きなど)
- 不在時の居室管理
- 安否確認
- 入院中のサービス(洗濯物交換など)
これらのサービスについて、全ての老人ホームが対応しているわけではありません。
どこまで対応してもらえるか確認しておきましょう。
老人ホームの契約内容は必ずチェックしよう
①入居要件
入居要件で可能となっていても、認知症の症状や介護度、医療依存度によっては入居を断られる場合があります。
反対に入居要件に明記されていなくても、受け入れてもらえる場合もあるので、気に入った施設が見つかったら、まずは相談してみましょう。
②退居要件
入居後に病気になった、持病が悪化した、認知症の症状が重くなり集団生活が難しくなった。
このように、医療依存度が高くなったり、ほかの入居者への迷惑行為などがあったりした場合、退居を迫られることがあります。
要件では受け入れ可能となっていても例外があるため、どのような状態になったら退居しなければいけなくなるのか確認しておきましょう。
こちらの記事では認知症の方でも入れる施設を紹介しています。
認知症に特化した施設であれば、スタッフも認知症の特性や対応方法の知識が豊富なためおすすめですよ。
→認知症の方でも入居可能な介護施設とその特徴とは
③料金プラン
パンフレットに記載されている料金プランには、追加で必要となる費用が明記されていないことがあります。
医療費や日用品費などは一律ではないため、目安としてどのくらい必要なのか確認しておきましょう。
行事やレクリエーションなどの有料のサービスや外で買い物をすることがあれば、その分費用が追加となります。
そのため、余裕をもって金銭面の計画を立てましょう。
また、様々な制度を活用することで、費用をおさえる方法があります。
こちらの記事で詳しく紹介しているので、参考にしてください。
→「老人ホームの費用が払えない!困った時の対処法を徹底解説」
④連帯保証人
ほとんどの施設において、身元引受人または身元保証人を契約時に求めています。
一般的に親族が担うことが多く、責任の範囲は以下になります
- 利用料金が未納になった場合の保証
- 病気や怪我または急変時の緊急連絡先
- 退去や死亡時の身元引受け
近年、身寄りのない高齢者も増えており、都道府県知事から指定を受けた介護老人福祉施設では、施設の入所契約に際し、「身元保証人等」がいないことを理由として施設入所を拒否してはならないことになっています。
平成 29 年度老人保健事業推進費等補助金「介護施設等における身元保証人等に関する調査研究事業」(平成 30 年 3 月みずほ情報総研株式会社)によると、91.3%の施設が身元保証人のサインが必要と回答しました。
契約書における「本人以外の署名欄」に記載ができない場合の入居の取扱いは「条件付きで受け入れる」が33.7%で最も多く、「本人以外の署名がないままでは入居は受け入れていない」が 30.7%でした。
本人以外の署名欄に記載ができない場合の受け入れの条件は、「成年後見制度(法定後見・任意後見)を申請していただく」が 74.4%と最も多く、「市区町村に相談する」が 55.0%となっています。
まとめ
老人ホームの見学のポイントについて解説してきました。
- 老人ホーム見学は必ず予約をして行く
- 見学中はマナーを守り、入居者に迷惑をかけない
- 施設の比較検討をするために3ヶ所以上見学に行く
- 老人ホームのサービス内容について把握しておく
- 老人ホームの契約内容は必ずチェックする
気になる施設が見つかったら、パンフレットやホームページなどで予習をし、見学当日はチェックリストに沿って、見学や質問をしましょう。
少しでも疑問に思った点は納得がいくまで質問をするといいでしょう。
大切にしたいポイントに優先順位をつけて、安心して暮らせるホームを見つけてくださいね。