老人ホームに持っていくと便利なものは何か?
ご家族が老人ホームに入所する際、生活必需品を準備しなくてはなりません。
生活必需品は入居者の介護状況や、趣味・生活習慣によって異なるため注意が必要です。
こちらの記事では、老人ホームに入所するご家族が快適に過ごせるように、用意しておくと便利なものをシーン・物品別にご紹介していきます。
衣服やタオル
高齢者にとって便利な衣服のポイントは「本人の着やすさ、快適さ、安全面、介護者の着せやすさ」です。
高齢者は加齢とともに動作が遅くなったり、細かい作業を行うことが難しくなります。また、体温調節の機能も低下しやすく、自分で更衣が難しい場合には援助が必要になるという点もふまえて衣服を選択することをお勧めします。さて、具体的にはどのような衣服が便利なのでしょうか。
・ストレッチ性のある服やパジャマ
生地が柔らかいスウェット地やポリエステルの物は伸縮性があり、着脱がしやすいです。
反対にシャツやナイロン生地などは衣服が硬く、伸びづらい特徴を持っています。
特に体が拘縮していたり、麻痺がある方は手足を動かすことが難しいため、ストレッチが効いている衣服の方が負担なく着替えることができます。
・前開きの衣服
寝たきりで自分では更衣が難しいという場合には、援助しやすいように前開きの服が便利です。
「前開きの服」とは、上から被るのではなく、前がボタンやテープなどで開くタイプの洋服のことをいいます。
服が大きく開くことで腕が通しやすく、胸元も締め付け具合を調節ができ、快適に過ごせます。
・大きめボタンの服やマジックテープの服
自分で着替えができても、小さなボタンに苦戦してしまう方が多くいます。
中にはボタンを大きくしている、またマジックテープで留める介護用の服などもあります。
衣服を工夫することで、可能な限り自分で行いたいと思っている方の想いも尊重することができるでしょう。
・上着
加齢とともに体温は低下しやすくなります。体温の低下を補うため、衣服での調節が必要となります。
普段着以外にも、カーディガンやガウンなど厚さの違う上着を数着用意しておくといいでしょう。
・ズボンは着脱しやすいウエストがゴムのもの
排泄や入浴時のことも考え、着脱しやすく楽なズボンをお勧めします。
ウエストがゴム製のズボンは下ろしやすく、ゆとりもあるので快適に過ごしやすいでしょう。
反対に、ジーンズなどの生地が硬く、おなか周りの締め付けがきついズボンは基本的には避けるようにしてください。
・ズボンの丈が長すぎない
ズボンの丈が合っているかは安全面に影響します。丈が長すぎるズボンを履いていると裾を踏んで転倒する危険性があるからです。ご家族の身長に合ったズボンを用意しましょう。
衣服以外でいうと、老人ホームでは入浴や洗面も行うためタオルも必要となります。
また、寝たきりの高齢者には移動や体の向きを変えやすいようにバスタオルを使用することもあります。
・様々なサイズのタオルを揃えておく
タオルは日常生活でよく使うのでバスタオル、フェイスタオル、ハンドタオルのサイズ別に揃えておくと便利です。
施設や本人のタオルの使用状況により必要な枚数は異なりますが、一週間分程度は用意しておくといいでしょう。汚れてしまうことも多いため、少し多めに用意しておきましょう。
洗面道具や身だしなみ道具
老人ホームでは毎日洗顔や歯磨き、整容を行います。洗面道具や身だしなみ道具は男性と女性によって異なる部分もあるので参考にして下さい。
男女共に必要なもの
・ガーグルベースン
歯磨き後のうがいを洗面台でするのが難しい場合に使用すると便利なグッズです。
カップの淵が頬に沿うようになっているため横になっていても、うがいが可能です。
・口腔ケア用スポンジブラシ
歯がない方や痰が張り付きやすい方にお勧めなものがスポンジブラシです。
柔らかいスポンジなので口腔内を傷つけにくく、汚れを絡めとるのに適しています。
・口腔ケアウェットガーゼ、口腔ケアジェル
寝たきりの方や嗽ができず誤嚥のリスクが高い方に使用することが多いケア用品です。
口腔ケアウェットガーゼは口の中の汚れをふき取ることができ、レモンなどの風味が付いている物も多いため爽快感を得られます。また痰が口の中に溜まって張り付きやすい場合には口腔ケアジェルでふやかすことで取れやすくなります。
・ボディクリーム、保湿剤
体や顔に使用できる保湿剤・ボディクリームがあると便利です。
高齢者は皮膚が乾燥しやすく、傷ができやすいため保湿をすることでカバーができます。
男性の必要な物
・電動髭剃り
老人ホームでは電動髭剃りが使いやすく便利です。剃刀だと肌を切ってしまうリスクが高く、泡も必要であるため簡単に行えません。電動髭剃りなら手元が滑っても肌を傷つける危険性も低く安全です。
女性に必要なもの
・使用している化粧水やヘアブラシ
長年使用しているスキンケア用品やヘアブラシは持参するといいでしょう。身だしなみを整えることで生活にメリハリができ活力も生まれます。
食事に関わるもの
高齢になると、体を動かすことが難しくなったり、認知機能が低下して自分で食事をすることが困難になる場合があります。
そこで少しでも楽しく食事するために便利なグッズをご紹介します。
・吸い飲み
吸い口が尖っているため水分をこぼすことなく飲むことができ、横になったままでも利用できます。寝たきりで介助が必要な方には吸い飲みが便利です。
・介護用スプーン、フォーク
お箸が上手く使えない場合には、介護用スプーンやフォークを利用するといいでしょう。
介護用スプーンは特徴として、食べ物をすくいやすいようにシリコン製になっている、角度を調節できる作りになっています。また握力が弱い方でも持てるように柄が太いタイプもあります。
自宅介護で使うと便利なもの
ご自宅で家族の介護を継続するには、介護者の負担を軽減することが大切です。
家での介護は疲れや不満が溜まって行きやすく、介護者が無理をされていることが多くあります。少しでも介護が楽になる道具を積極的に取り入れ、介護者自身の時間や体も大切にしましょう。
自宅で介護をしている方や、これから介護をする予定という方に向けて便利用品をご紹介するので参考にして下さい。
床ずれ防止マット
長時間同じ体勢でいると、皮膚が圧迫され床ずれができます。寝たきりになると自分で寝返りを打つことができないため、介助しないと簡単に床ずれができてしまいます。また寝返りが打てるという方でも、おむつを使用していたり、皮膚が弱い方であると床ずれができるリスクは高いです。
床ずれ防止マットの選び方で重要なのは自力で寝返りが打てるか、打てないかです。
寝返りが打てる人
・床ずれ防止静止型マットレス
静止型マットレスとは、弾力の異なるウレタンフォームを組み合わせることにより、 優れた体圧分散性と動きやすさを両立させたマットレスのことです。
体圧を分散してくれつつ、動きやすさも考えて作られているので、自分で座ったり、移動にも不自由がないものを選べます。
寝返りが打てない人
・床ずれ防止エアマットレス
エアーマットは中に空気を入れ体の圧力を分散し、体の圧迫を予防できるマットレスです。
マットの中の空気の圧を変えることで床ずれを防止しています。寝たきりで床ずれのリスクが高い人にはエアーマットがお勧めですが、動ける人に使用すると動きにくいため体力を落とす原因になります。
静止型マットレス、エアマットレスは多くの種類があるので、本人に合ったものを選ぶことが床ずれ予防に大きく繋がります。選択に迷う場合は、介護福祉用具の専門員に聞くのがおすすめです。
介護用食事エプロン
手が上手く動かせない、筋力や認知機能の低下が原因で食事がこぼれやすくなる高齢者は多いです。食事がこぼれると衣服や周囲が汚れ、着替えや掃除が大変ですよね。そんな時には介護用食事エプロンが便利です。汚れを最小限に抑えることができ、エプロンの洗濯も簡単な物が多いのでご紹介します。
・繰り返し利用できるタイプ
撥水防水加工の食事エプロンは水分をこぼしても大丈夫です。また何度でも洗濯をして使うことができるのでコスト面でも負担を抑えられます。
エプロンの種類も、長袖になっているタイプや裾に折り返しがある物、シリコン製のタイプまで様々あります。洗濯して使用する場合、毎日使用するものとなるため、数枚準備しておくと便利です。
・使い捨てタイプ
使い捨てエプロンの利点は、衛生的な点と手間がかからないことです。
1日3回洗うとなると手間になってしまいますが、使い捨てエプロンはビニール製で簡単にくるんで捨てることができます。)
用意したけど使わないかもしれないものは何か?
これから介護が始まる、老人ホームに入居するといったタイミングでいろんな物を準備したけど、案外使わなかったという物もあります。不要な出費を避けるためにも、案外使われない用品を紹介していきます。)
家電や電子機器はいらないかも
高齢者にとって、新しい電子機器を覚えるのは難しく、聴力が低下し機器の音を聞き取れない場合もあります。そのため家電は新しく準備しても使わない可能性があります。
・テレビ
耳が遠い場合はテレビを見なかったり、大音量で使用して他の入居者に迷惑をかける場合があります。最終的にテレビを使用しなくなったというパターンも意外と多くあるため、日常的に使用できるか検討してみることをお勧めします。
・スマートフォン
老人ホーム入居中の緊急時に使用できるようにと、スマートフォンの準備を考える方もいるでしょう。しかし、利用してこなかった物の使い方を覚える事は難しく、結局使用しない事が多いです。
スマートフォンは月々の料金も掛かるので、使用が難しい場合は不要だと考えていいでしょう。
入居する人の状態や趣味を見て決めよう
老人ホームでの必要物品は、入居するご家族の状態により異なります。歩くことができるか、寝たきりなのかで服装や介護用品も使いやすい物が異なります。また昔からの趣味などがある場合には、関連する道具を持参することで楽しく過ごす手助けにもなるのではないでしょうか。老人ホームは毎日を過ごす居場所となるので、ひとりひとりに合った環境を整えることが大切です。
まとめ
ご家族に介護が必要となった時、少しでも介護が楽になるように便利グッズを検討してみて下さい。
もし老人ホームに入居して、何が必要か悩んだ場合は施設スタッフに相談するといいでしょう。毎日のケアにあたっているため、ご家族の状態をよく把握しています。
ご自宅で介護をしていて、介護認定を受けている場合はケアマネジャーに相談するのもひとつの方法です。困っているポイントなどを相談すると解決策を一緒に考えてくれます。
介護される本人も、介護をするご家族も、快適に過ごせるように上手く便利グッズを活用してみて下さい。