老人ホームで実際に施設のサービスを受けることができる体験入居についてご存じですか?
体験入居を通して、希望に沿った施設を見つけられるかもしれません。
- 老人ホームの体験入居について
- 体験入居にかかる費用や利用日数
- 体験入居を通してチェックすべきポイント
この記事では体験入居に関する以上の点を踏まえて解説しています。ぜひ活用していただき、入居を希望する方に合った施設選びをしましょう。
体験入居とは?
体験入居とは、主に民間企業が運営する老人ホームなどが実施している短期利用をいいます。利用条件を設けている施設もあり、利用条件の一例としては以下の通りです。
- 入居の意思がある
- 身元引受人を立てられる
- 利用料金が支払える
- 円滑に共同生活が出来る
その他にも年齢や要介護認定の有無などで条件を設けている場合もありますが、基本的には体験入居を行っている施設に直接確認を取るようにしましょう。また、体験入居をすることで以下のメリットが考えられます。
- 本入居した時と同じサービスを受けられる
- 入居している人から施設の暮らしを聞くことができる
- 施設スタッフとコミュニケーションがとれる
次より、メリットに関する詳細、利用可能日数や費用について紹介していきます。
本入居した時と同じサービスを受けられる
体験入居では、実際に入居した時と同じサービスの提供を受けます。老人ホームで受けられるサービスは以下の通りです。
- 介護サービス
- 生活支援サービス
- その他アクティビティサービス
介護サービスは日常生活を送る上で、自身で行えない部分の身体介助をうけることができます。施設によって人員配置も異なり、介護スタッフの男女比や経験年数などにも違いがあるため、利用者の状況に合っているかしっかりと確認しておきましょう。
生活支援サービスでは、居室の掃除や洗濯などの家事援助を行います。施設によっては家事などをサービスとして提供するか、自身で行うか選ぶことができます。
アクティビティ施設のある老人ホームでは、ジムや趣味活動を行える場合があります。施設以外にも独自のプログラムを設けているなど、施設の特色が現れる部分です。活動的な方にとって、こちらのサービスは入居後の満足度に繋がるでしょう。
入居している人から施設の暮らしを聞くことができる
体験入居中、実際に暮らしている方とコミュニケーションを取れる場合があります。また、見学だけではわからない、施設内の雰囲気や利用者層を知ることができます。
既に入居されている方が感じていることを伺うことで、入居後の生活もイメージしやすくなるでしょう。
施設スタッフとコミュニケーションがとれる
実際に施設で過ごすことで、サービスを提供するスタッフと交流することができ、施設スタッフと実際に交流をすることで、体験入居者との相性も見ることができます。体験入居者とスタッフが、気兼ねなくコミュニケーションがとれるかどうかは施設で生活をする上でとても重要なことです。
上手にコミュニケーションが取れない、不信感があるなど不安に思う点がある場合は、他の施設を検討することをお勧めします。
利用日数や費用は?
利用日数や費用については施設により異なり、利用日数に関しては明確な決まりはありません。体験入居を実施している複数の施設を比較した場合、平均的な費用や利用日数は以下のようになります。
利用日数 | 利用料金(1泊あたり) | |
有料老人ホーム | 1泊2日から7泊間 | 4,000円から16,500円ほど |
住宅型有料老人ホーム | 1泊2日から7泊間 | 5,500円から7,700円ほど |
サービス付き高齢者住宅 | 1泊2日 | 10,000円から15,400円ほど |
施設によって利用料に差があり、介護保険サービスが適用にならずに実費負担となることが多いため、その点も施設へ確認をしておきましょう。
また、施設によっては空床利用と言って、利用者のいない居室を体験入居として利用することがあります。そのため、施設が入居定員ですでに埋まっている場合は体験入居が行えないこともあります。
体験入居でチェックするポイントは?
施設見学では見えない部分も、体験入居で実際に宿泊することで確認することができます。体験入居を行う場合のチェックポイントは以下の通りです。
- 施設サービスのタイムスケジュール
- 施設で提供される食事
- 施設の居室などの設備
- 介護スタッフの接遇面
- 朝や夜間帯の雰囲気
こちらの5つになります。実際に生活していく中で大切なことは、入居者の生活リズムと施設が提供するサービスのスケジュールが合うかです。さらに提供される食事の内容や居室の設備、スタッフの接し方に至るまで確認すべきポイントがあります。次より詳しく解説していきます。
生活リズムをしろう
一人ひとりの生活リズムは異なっており、朝から活動するのが好きな方もいれば、夜までゆっくり過ごすことが好きな方もいるでしょう。
施設では食事や入浴の時間、夜間帯は見回りの時間などサービスの提供にスケジュールを設けているものがあります。サービスの提供時間が入居者本人の生活リズムと合わなければ、施設での生活がストレスとなるでしょう。
体験入居では、実際のサービスの提供時間を確認しておきましょう。
食事も味わってみよう
施設での食事を施設内厨房で調理をして提供している場合と、外注して提供している場合があります。入居者の好みに合った味付けとなっているか、また、身体状況によって食事形態を変えることができるかもポイントです。入居者自身に合った食事でない場合、食事形態が本人の身体状況に沿っていたとしても、食が進まなくなってしまうことがあります。
健康にも関わるため、必ず確認をするようにしましょう。
施設の設備をみよう
体験入居では、一般的に個室を利用することが多いです。基本的に老人ホームは、バリアフリー対応になっているため手すりや段差の解消がされています。しかし、バリアフリー対応や使いやすさに配慮された居室になっていても、入居者本人の身体状況によっては使いづらさや過ごしにくさを感じる場合があります。特に気にしたいポイントは以下の通りです。
- 手すりの位置
- トイレの配置
- ドアの仕様
- その他設備の有無
生活がしやすいように適切な位置に手すりが配置されているか、また、トイレの位置も確認しておきましょう。施設によっては共同トイレとなっており、居室内にトイレが配置されていない恐れもあります。また車いすでの利用のしやすさも含め、スペースも合わせて確認するといいでしょう。
ドアに関しては基本的に引き戸で設置されているものが安心です。万が一居室で倒れてしまった場合でも、引き戸であれば倒れた身体が邪魔をして開かない等といった心配がないためです。
その他にも、居室内で簡易的な調理ができるか、浴室は設置されているのかなど、居室内の設備についても気にしてみるようにしましょう。
スタッフの接遇面も気にしてみよう
施設では24時間体制でスタッフが常駐しており、夜間も見回りを行っています。
日々の生活を一緒に過ごし、介護や介助もお願いすることになるためスタッフとの相性はとても大切です。接遇面では以下のポイントを注視しておきましょう。
- 明るくはっきりとした挨拶をしているか
- 言葉遣いは丁寧か
- 怒った表情や暗い表情ではなく、笑顔で接しているか
入居者と施設スタッフの間で信頼関係を築けるかどうかも大切なポイントです。
早朝や夜間帯の雰囲気をみよう
老人ホームの見学では、早朝や深夜の時間帯の雰囲気は確認することができません。体験入居では、実際に過ごして雰囲気を体感することができます。確認ポイントは以下の通りです。
- 夜間帯にスタッフはいるのか
- いる場合は何人のスタッフが対応しているか
- 見回り(巡視)を深夜はどのくらいの頻度で行っているか
- 呼び出しボタンは設置されているか
- 迅速に対応してもらえるのか
夜間帯の配置人数は施設によってさまざまです。1人の場合もあれば複数人の場合もあります。定期的な見回り時間も、施設では決められているため、夜間帯はどのくらいの頻度で見回りに来てくれるのかも確認をしておくといいでしょう。
またスタッフに対応を依頼するための呼び出しボタン(ナースコール)が居室に設置されているかも見ておきましょう。
夜間帯は特に人が少ない時間帯です。何か困りごとがあった場合、適切に対処してくれるかも施設生活を念頭に置いた体験入居では大切なことです。
体験入居までの流れは?
体験入居を希望する際は、以下の流れで施設とやりとりを行います。
- 施設見学
- 申し込み
- 事前面談
- 体験入居開始
簡単に説明するとこのような流れになります。
- 施設見学
体験入居を行いたい施設へ出向き、施設見学を行います。その際、普段の困りごとがある場合は予め伝えておきましょう。
家族も一緒についていき、内容の確認を行いましょう。
- 申し込み
(例)
- 体験入居の申し込み表
- 診療情報提供書
- 日常生活の状況確認表
施設によって必要な書類は異なりますが、現在の状態が把握できる情報が必要になるため、施設側より確認を受けた場合は速やかに伝えられるようにしておきましょう。
- 事前面談
家族、体験入居を行う本人と施設側で面談を行います。あらかじめ聞き取りを行っていた内容をもとに、体験入居を行う上で必要と思われる部分を面談で話し合います。
- 体験入居開始
このような流れで体験入居が開始となります。
自分が入居したい条件のところに申し込もう
施設のパンフレットを取り寄せたり、見学を行ったりして情報を集め、入居したい/させたいと思う施設 を探すことが大切になります。
入居社に合った施設を見つけるためには、日常生活で本人が大切にしていることを施設生活でも継続できるのかがポイントになります。
例えば日常生活で以下のような側面がある場合は、施設を探す際の大きな手がかりになります。
- 長年続けている趣味がある
- 気軽に外出できる環境がいい
- プライバシーに配慮された環境がいい
このような趣向や価値観を、居住場所が自宅から老人ホームへ移った場合でも継続できるような施設を探すと良いでしょう。
入居体験した本人の話をしっかり聞こう
体験入居の良いところは、老人ホームの生活を疑似体験できることです。良い面だけでなく、合わない面も見えてくることで体験入居をした本人が後ろ向きな感情になってしまうこともあるかと思います。
そのような場合は、無理に入居を進める必要はありません。一番大切なことは、入居する本人とその家族の気持ちです。実際に体験入居をしてみたらイメージと違ったと感じることは珍しくありません。
体験入居を行っている施設では、入居を前提として実施している場合もありますが、合わないと思えば取りやめても問題はありません。
まとめ
表面的な見学だけでなく、体験入居し実際にサービスを受けることで入居者に合うか見極める材料になります。
老人ホームは生活の場であるため、どうしても外側からでは内側の様子が分かりづらい面があります。家族にとっても、実際に体験してもらうことで、入居者本人の住環境を変えても問題がなさそうか確認ができるため、まずは体験入居をすることをお勧めします。