老人ホームは高い!その理由ともしもの時の対処法を徹底解説

自宅介護に限界を感じると、老人ホームへの入所を検討し始めるでしょう。

しかし、老人ホームの費用がネックとなり、仕方なく自宅介護を継続している家庭も多いのではないでしょうか。中には実際に入居してから支払いが滞り、退居せざるを得ない状況に陥る場合もあります。

 

この記事では、老人ホームが高い理由と、支払いの心配を解消するための方法についてご紹介します

 

ぜひ、最後までご覧ください。

老人ホームが高すぎる理由はなぜ?

PwCコンサルティング合同会社が令和2年に厚生労働省の補助金を受けて実施した「高齢者向け住まいにおける運営形態の多様化に関する実態調査」によると、民間の老人ホームの中で、最も手厚い介護を受けることができる介護付き有料老人ホームの平均月額は24.6万円でした。また、入居一時金や権利金の平均額は、461.8万円でした。どちらも公的施設と比べると非常に高額で、入居する本人の年金だけで賄うには難しい金額となっています。

 

民間の老人ホームが高すぎる理由は、介護保険外の費用にあります。

 

まず、公的施設である特別養護老人ホームでは、請求されることのない共益費や管理費の請求があります。また、民間の施設は個室が基本で面積も広いため、コストがかかり、高級感を出すため内装にも費用をかけています。提供されるサービスも人員を基準より手厚く配置したり、様々なアクティビティを用意していたりと、ホスピタリティが充実しています。さらには、入居一時金が数百万円~数千万円が相場となっており、非常に高額になっています。

 

このように、有料老人ホームをはじめとした民間施設が高すぎるのは、入居者満足度を重視した内装や設備・保険外サービスの充実を図っている所に理由があります。一方で、公的施設は実用性を重視してコストを抑えた作りであり、入居一時金も不要なため費用を抑えることができています。この介護サービス費以外にかかる費用が上乗せされるため、民間の老人ホームは高額になる傾向にあるのです。

高すぎるのが辛い場合は公的施設に入ろう

民間の老人ホームが高額で入所ができない・入所したが払い続けることができないと思った際は、思い切って公的施設である特別養護老人ホーム(以下、特養)への入所を検討しましょう。特養は入居一時金がかからず、介護保険サービス以外の費用も安く抑えられています。基本的には看取りまで対応してくれるので、体調の変化によって退居を迫られるリスクも少ないです。

 

具体的に、料金を比較してみましょう。

 

【入居月額費用 試算表】※要介護3・自己負担1割の場合

介護付き有料老人ホーム 特別養護老人ホーム

(ユニット型個室の場合)

介護サービス費 20,220円 23,790円
食費 50,730円 43,350円
居住費 129,904円 60,180円
管理費・共益費 等 71,036円 0円
合計 271,890円 127,320円

※介護サービス費は、各種加算は除外し基本サービス費のみ30日で計算。

 

このように、費用面では特養の方が圧倒的に安くなっています。さらに特養には、収入に応じて費用をさらに減免する制度もあります。

特養は要介護3以上で申し込むことができますが、その安さ故、非常に人気の施設です。入所できるまで1年以上待たなければならない場合もあるので、費用面を理由に転居を検討するのであれば、早めに行動するようにしましょう。

老人ホームは高いがメリットもある!

民間の老人ホームは特養と比較すると高額ですが、実は費用が高いが故の様々なメリットもあります。民間の老人ホームは、入居者が自らの意思で生活を組み立てることができるため、内装の高級感や食事・アクティビティなど介護以外のサービスが充実している点が一番のメリットと言えるでしょう。

 

特養は日常の生活スケジュールがあらかじめ定められている場合が多いため、入居後に窮屈さを感じる場合があります。生活水準の高い暮らしを送ってきた方は、食事や設備・内装などに不満を感じることがあるかもしれません。

 

民間の老人ホームと特養のメリット・デメリットを下表にまとめました。

 

【民間老人ホームと特別養護老人ホームのメリット・デメリット】

メリット デメリット
民間の老人ホーム
  • アクティビティが充実している
  • 建物の質感が高い
  • 居室が広い
  • 食事が充実している
  • 職員が手厚い施設が多い
  • 富裕層向けの高級施設もある
  • 費用が高い
  • 認知症や要介護度が高くなった際には退居を求められる場合もある
  • 看取りに対応していない場合がある
特別養護老人ホーム
  • 費用が安い
  • 看取りまで対応可
  • 認知症や要介護5になっても退居を求められない
  • 寝たきりになっても対応可能な介護設備がある
  • 日々の生活がある程度制限される
  • 安全第一のため、窮屈さを感じることもある
  • 要介護3以上でないと申し込めない
  • 入所待ち期間が長い
  • 富裕層向けのサービスやホスピタリティは期待できない

 

このように、民間の老人ホームは確かに高いですが、それに見合ったサービスを受けることができる点がメリットとなっています。在宅での一人暮らしは心配だが、今までの生活の質や満足感は犠牲にしたくないと感じるのであれば、民間の老人ホームを利用する事をお勧めします。

 

老人ホームは高いので将来のことを考え貯金しておくのも大切

ここまで紹介してきた通り、老人ホームは非常に高額です。老後の生活を安定させるためにも、若いうちから老人ホーム入居も意識して、十分貯蓄しておく心構えが必要です。

なぜなら、厚生労働省が公表している「令和元年簡易生命表の概況」「第16回健康日本21(第二次)推進専門委員会資料」(令和3年12月20日)で公開されているデータをもとに考えると、男性の平均介護期間は8.7年、女性は12年と長期に渡るからです。

 

【試算 男女別平均介護期間】

〇男性の場合

81.41(平均寿命)ー72.68(健康寿命)=8.73年(平均介護期間) 

〇女性の場合

87.45(平均寿命)ー75.38(健康寿命)=12.07年(平均介護期間)

 

このように、長期に渡り介護が必要となった場合、期間が長くなるほどお金が必要となります。そのため、早いうちから将来のことを考えて貯金しておくことが重要になります。また、単に現金を貯めておくだけでなく、民間の介護保険に加入していざという時のために備えておくとさらに安心です。

 

※民間の介護保険とは

各種保険会社が取り扱っている、生命保険や自動車保険のような保険商品の一種。

要介護認定のレベルに応じて保険金が支払われる「公的介護保険連動型」と、保険会社が独自に定める要介護状態になったときに保険金が支払われる「独自型」の2種類の方式がある。

 

無理をせず自分が払える施設に入ろう

老人ホーム探しをする際は、予め月額費用の予算を明確にした上でリサーチをすることが非常に重要です。入所しても支払いが滞り退居させられてしまうということになれば、本人にとっても精神的な負担となります。環境の変化により本人が混乱し、認知症の悪化につながるリスクもあります。

 

中には本人の年金だけでは足りず、家族が必要経費を補填する必要に迫られることもあるでしょう。しかし、補填する家族にも自分たちの生活があります。お互いの生計を維持するためにも、介護に必要な資金は、本人夫婦の年金や貯蓄で賄うようにすることが理想です。

 

まとめ

 

ここまで、老人ホームの費用が高すぎる理由や対応策についてご紹介してきました。

 

  • 民間の老人ホームが高すぎる理由は、介護サービス費以外にも食費・滞在費・管理費などの付加サービスにお金がかかるため。
  • 民間の老人ホームの費用が高額に感じる場合は、公的介護施設(特別養護老人ホーム)への入所を検討する。
  • 民間の老人ホームは高いが、費用に応じた付加価値のあるサービスを受けられることが魅力である。
  • 老人ホームの支払いに困らないよう、若いうちから老後の資金を貯めておくことが大切。民間の介護保険も活用すると尚良し。
  • 老人ホーム選びの予算は、本人夫婦の年金や貯蓄で捻出できる金額にする。

 

これらの情報が、少しでも皆様のお役に立てば幸いです。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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