老人ホームの入居金とは?重要ポイントを徹底解説!

老人ホームの「入居金」とは、「入居一時金」または「前払金」のことを言います。

老人ホームへ入居する際にかかる費用には「月額費用」の他に、施設によっては「入居金」が必要な場合があります。

「入居金」にはメリットとデメリットがあり、老人ホームを選ぶ際の重要なポイントです。

この記事では、入居金に関する重要なポイントを徹底解説していきます。

入居金とは?

「入居金」は「前払金」とも言われ、入居時に数年分の入居費用をまとめて払うことで、月額費用を安く抑える方法です。

入居金を施設が受領する場合、以下の3つの条件を満たす必要があります。

入居金を受領する場合の3つの条件

①受領可能な目的の費用であること

  • 家賃
  • 介護サービスの提供
  • 食事の提供
  • 日常生活上必要な便宜の供与(洗濯・掃除などの家事サービス、水道光熱費、管理費など)
    ※ 介護保険自己負担分は含みません

②入居金の算定基礎を「入居契約書」「重要事項説明書」等に明記すること

③銀行の債務保証、その他厚生労働大臣が定める措置を講じること
この措置のことを「保全措置」と言います。「保全措置」については、後ほど詳しく解説します。

入居一時金とは何か知っておこう

入居一時金とは、入居時に数年分の入居費用をまとめて支払う方法ですが、施設によって償却期間は5年〜15年と、償却方法は施設ごとの規定によります。

金額は施設ごとの計算方法に基づき、終身にわたって住み続けることを前提に、入所時の年齢、性別、心身の状況などから平均余命を参考に算出し、「想定居住期間」に応じて設定されます。

一般的に、想定居住期間を超えて入居し続けても、追加の費用を請求されることはありません。

入居金を受け取っていい施設は何処か

入居金は有料老人ホーム特有のシステムです。

そのため、特別養護老人ホームなどの公的施設では、このような支払い方法はありません。

民間施設が安定した経営を維持していくために取り入れている方法とも言えるでしょう。

有料老人ホームの定義は以下になります。

①高齢者を1人以上入居させている

②入居者に対して、以下のいずれかのサービスを提供している

  • 食事の提供
  • 介護サービス(入浴・排泄・食事)
  • 洗濯・掃除等の家事サービス
  • 健康管理

入居金の仕組みとは

入居金の支払い方法には、月払い方式と前払い方式、2つを合わせた併用方式があります。

入居時の年齢や性別、介護度などから、施設ごとの計算方法で算出されます。

支払い方式 支払い方法 メリット・デメリット
全額前払い方式
(一時金型)
生涯をそこの施設で暮らすことを前提に、平均余命などから想定した居住年数分の家賃を入居時に一括で支払う方法
  • 初期費用が高額
  • 想定居住年数を超えても家賃の追加支払いがない
併用方式
(一部前払い、残りを月払い型)
家賃の一部を前払いして、残りを月払いにする方法
  • 全額前払い方式よりも初期費用の負担が軽い
  • 月々の支払いも全額月払い方式よりも安い
全額月払い方式 居住期間中、毎月家賃を払い続ける方法
  • 初期費用の負担がない
  • 毎月の支払いは高い

入居一時金は、一般的には数十万円から数百万円です。

また、老人ホームのなかには「高級有料老人ホーム」といわれる施設があり、その場合は数千万円以上にもなります。

入居一時金は高額が故に、入居した施設が気に入らなくても、「大金を払ったから」と住み替えに躊躇することがあるかもしれません。

入居した後で支払いに困ることがないように、余裕をもった支払い方法を検討しましょう。

入居時には問題がなくても、想定外の状況変化により支払いが困難になる場合があります。

こちらの記事では、月額費用の相場や費用を安くおさえるためのポイント、支払いができなくなった場合の対処法を紹介していますので、参考にしてくださいね。
老人ホームの費用相場は?施設ごとの平均料金なども徹底解説

入居金として払わなくても良い名目

平成24年3月に老人福祉法の一部が改正され、高齢者グループホームと有料老人ホームにおける、前払金や権利金についての取扱いなどのルール化が図られました。

入居金として、施設が受け取れる費用と禁止されている費用は下表の通りです。

受領可能な費用 受領できない費用
  • 敷金(家賃の6か月分相当の額を上限とする)
  • 家賃
  • 日常生活上必要な便宜の供与の対価
    (食費、水道光熱費、管理費、介護サービス費など)
  • 前払金
権利金

  • 礼金
  • 保証金
  • 入会金
  • 協力金など

入居一時金は返却されることはある?

入居一時金は、入居してから90日以内で退去した場合、または入居している施設が倒産した場合に返却されます。

短期解約特例制度

「短期解約特例制度」は、「クーリングオフ」や「90日ルール」とも呼ばれています。

以下のような理由により、入居してから90日以内で退去した場合、「短期解約特例制度」により、入居期間中の居住費用(家賃分、食費など)を除いた全額が返還されることが法律で定められています。

  • 入居者が亡くなった
  • 入居者の病状の悪化により退去せざるをえなくなった
  • どうしても合わないなどの理由による退去

90日を超えての退去の場合、施設によっては「初期費用」として入居と同時に入居金のうち0〜30%が償却されてしまい、大幅に返還される金額が減ってしまう可能性があります。

また、想定居住期間を超えた場合、返還はありません。

入居を検討する際は、「契約書」や「重要事項説明書」についても確認しておくことが重要です。

その際、「償却年月数(入居一時金が全額償却されて戻らなくなる年月数)」と「解約時の返還の計算式」をチェックしておきましょう。

見学時にお願いしておけば、契約書類をもらうことも可能です。

入居一時金の返還方法

入居後3ヶ月以内、または想定居住期間内に契約が終了した場合、入居一時金の額から実費相当額を控除した額に相当する額を返還する旨の契約を締結します。

実費相当額の計算方法は以下になります。

【入居後3ヶ月以内】
家賃等 ÷ 30日 × 入居日数

【 想定居住期間内】
契約解除日、または死亡により終了した日以降の期間について、日割計算により算出した家賃等の金額を入居一時金の額から控除する。

保全措置

「保全措置」とは、入居している施設が倒産した場合の保障のことです。

老人福祉法の改正により、2021年4月1日以降すべての有料老人ホームが保全措置の対象となり義務化されました。

この「保全措置」により、入居費用として使われていない入居一時金の残金が最大500万円まで保障されます。

「短期解約特例制度」と同様、見学時に以下のような対応がなされているかを確認しておきましょう。

  • 銀行等による連帯保証委託契約
  • 信託会社等による信託契約
  • 全国有料老人ホーム協会による入居者生活保証制度
  • 保険会社による保証保険契約

まとめ

老人ホームの入居金の支払い方法には、3種類の方法があることを解説しました。

  • 全額前払い方式(一時金型)
  • 併用方式(一部前払い、残りを月払い型)
  • 全額月払い方式

入居金を支払うことのメリット・デメリットについて検討し、あなたに合った方法を選択してくださいね。

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