老人ホームの種類と特徴について徹底解説!

「親の介護に限界を感じ、老人ホームの入所を検討しているけど、どんな老人ホームを選べばいいのだろう」

「老人ホームにもいろいろな種類があると聞いたけれど、どんなところでも申し込みできるのだろうか」

このような悩みを持つ方は意外と多いのではないでしょうか。

一口に老人ホームといっても色々な種類があり、それぞれに長所も短所もあります。

大切な家族が入所するとなると、不安や疑問は解消しておきたいものです。

この記事は、老人ホームの種類や特徴、利用料金などを解説していきます。

老人ホームは公的施設と民間施設の二つに分けられる

まずは老人ホームの種類について説明していきます。

次の章で詳しく触れますが、その数はなんと11種類。

こちらの11種類は、大別すると公的施設と民間施設の2つに分けられます。

 

公的施設というのは、特別養護老人ホームや介護老人保健施設、介護療養型医療施設(介護医療院)などで、設置主体は社会福祉法人や地方自治体などです。

設立や運営に対して補助金が受けられることから、民間施設に比べて安価で入所できます。

そのため、民間施設に比べて人気が高く、入所しづらいという面があります。

 

一方、民間施設は有料法人ホームやグループホーム、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)などが挙げられます。

文字どおり、民間企業が運営しています。

公的施設に比べてサービスは充実していることが多いですが、その分、費用は高めに設定されています。

サービスや職員を充実させることで差別化を図っているところも多くあります。


老人ホームには11種類の施設がある

もう少し詳しく見ていきましょう。

先ほど、老人ホームは2つに大別できるといいましたが、細かく分けていくと11種類に分けられます。

 

公的施設は次の5つとなります。

     特別養護老人ホーム

一般的に特養と呼ばれる施設。費用の安さが魅力。看取りまで行ってくれるところも多くある。

     介護老人保健施設

一般的に老健と呼ばれる施設。入院をしている方などが在宅復帰を目指し、リハビリに取り組む。

     養護老人ホーム

身体的、精神的、環境的、もしくは経済的な理由で在宅で生活できない高齢者が入所できる施設。介護の必要がなく、自立した方のみが入居できる。

     ケアハウス

一般型と介護型の2つに分類される。一般型は自立して生活するのが難しい60歳以上の方を対象とした施設。介護型は介護サービスの提供が受けられる。

     介護療養型施設(介護医療院)

療養病床とも呼ばれる。2024年3月末で廃止が決定しているが、その機能を介護医療院が引き継ぐ。

 

民間施設は次の6つです。

    介護付き有料老人ホーム

24時間体制で介護を受けることができる施設。

    住宅型有料老人ホーム

掃除や食事の提供などの生活支援がある施設。介護サービスが必要な場合は、外部のサービス業者に依頼する。

    健康型有料老人ホーム

介護の必要がない、自立した60歳以上の方のための施設。

    サービス付き高齢者向け住宅

一般的にサ高住(さこうじゅう)と呼ばれる。生活支援や安否確認が受けられる。

    グループホーム

要支援2以上で入居できる、認知症の方を対象とした小規模施設。家事をスタッフや他の入居者と分担しながら行う。

    シニア向け分譲マンション

文字通り分譲マンションであり、初期費用が高額。

その分、たとえばシアタールームやフィットネスルームなどの設備が充実している。

 

介護施設・老人ホームの種類によって料金が違う

それぞれの施設では、どれくらいの料金がかかるのでしょうか。

わかりやすく表にまとめてみます。

運営主体 種類 初期費用 月額利用料
公的施設 特別養護老人ホーム なし 5~22万円
介護老人保健施設 なし 8~20万円
養護老人ホーム なし 0~14万円
ケアハウス 一般型 0~30万円 6~30万円
介護型 数十万~1千万 6~20万円
介護療養型施設 なし 8~20万円
民間施設 介護付き有料老人ホーム 0~数千万 15~35万円
住宅型有料老人ホーム 0~数千万 15~35万円
健康型有料老人ホーム 数百万~数千万 15~50万円
サービス付き高齢者向け住宅 0~数千万 10~30万円
グループホーム 0~数千万 10~30万円
シニア向け分譲マンション 数千万~数億円 10~30万円

費用に関しては地域差もあります。

五つ星のホテルと、そうでないホテルの料金が違うように、同じ種類の施設であっても設備によっては大きな差があることもあります。

また、公的施設は、ケアハウスを除いて入居一時金は不要です。

月額の費用も公的施設と民間施設を比較すると、大きな差があることがおわかりいただけると思います。

ただ、料金に差がある分、民間施設は「食事が豪華」「施設内がきれい」「スタッフが充実している」などの付加価値が付いているケースがほとんどです。

介護度によって受け入れてもらえる施設は変わる

では、利用料さえ支払えばどんな施設でも利用可能なのでしょうか。

そうではなく、介護度によっても入居できるかどうかの違いがあります。

こちらもわかりやすく下記表にまとめてみました。

運営主体 種類 入居できる介護度
公的施設 特別養護老人ホーム 要介護3以上
介護老人保健施設 要介護1以上
養護老人ホーム 自立
ケアハウス 一般型 自立~要支援
介護型 要介護1以上
介護療養型施設 要介護1以上
民間施設 介護付き有料老人ホーム 自立~要介護5
住宅型有料老人ホーム 自立~要介護5
健康型有料老人ホーム 自立のみ
サービス付き高齢者向け住宅 自立~要介護3
グループホーム 要支援2以上
シニア向け分譲マンション 自立~

公的施設では、養護老人ホームは自立が条件となっています。

一般型のケアハウスも入居条件は要支援までとなっており、介護が必要な状態になると退居する必要があることに注意が必要です。

民間施設では、健康型有料老人ホームは同じように自立していることが入居条件であり、

グループホームも介護度が高くなると退居を迫られるケースが多いです。

サービス付き高齢者向け住宅は要介護3までとなっていますが、こちらは介護職員が常駐している施設もありますので、そういった施設の場合には介護度が高くなっても継続して入居できる場合もあります。

シニア向け分譲マンションの入居対象は「自立した生活が送れる高齢者であること」となっています。

 

施設によっては看取りが難しい場合も

看取りとは、無理な延命治療を行わず、自然に亡くなる過程を見守っていくことを意味します。

自宅ではないとはいえ、施設に何年も住んでいるとご本人もご家族も愛着が湧き、施設で最期を迎えたいと思う方が実は多くいらっしゃいます。

先ほど紹介した11種類の施設の中で、確実に看取りを行ってくれる施設は介護療養型施設(介護医療院)です。

その他の施設では、同じ特養であっても看取りを行っているところと、そうでないところがあります。

なぜなら、看取りを行うためには、施設が介護保険法における次の条件を満たしている必要があるためです。

・常勤看護師を一名以上配置し、施設または病院等の看護職員との連携による24時間の連絡体制を確保していること

・看取りに関する指針について入所者・家族に説明し同意を得るとともに、看取りの実績を踏まえ適宜見直しを実施していること

・看取りに関する職員実習を実施していること

・医師が一般に認められている医学的知見に基づき、回復の見込みがないと診断していること

・他職種が共同で作成した介護に関する計画について、入所者又は家族の同意を得ていること

・看取りに関する指針に基づき、他職種の相互の連携の下、介護記録等を活用し、入所者・家族に説明していること

参照元:厚生労働省「介護老人福祉施設の報酬・基準について」

これらを満たす施設でないと、看取りを行うことができません。

もちろん特養以外も同様です。

また、終末期に入ってから看取りができる介護施設を探すことは不可能であるため、入所前に看取りを希望するかどうか確認しておくことをお薦めします。

施設によって対応の可否は異なりますが、以下の施設については看取りの対応はありません。

・養護老人ホーム

・ケアハウス(一般型)

・健康型有料老人ホーム

・サービス付き高齢者向け住宅

看取りを希望される方は、上記の施設以外を選ぶように気を付けましょう。

スタッフの充実度も施設によって違う


老人ホームの数は年々、増加しています。

そのため様々なサービスで差別化を図ろうとしているところは多くあり、スタッフの充実度もその一つといえるでしょう。

特に民間施設は費用が高い分、スタッフを手厚い待遇で充実させようと努めているところが多いようです。

だからといって公的施設が劣っているわけではありません。

職員が潤っていて、良いサービスを提供している公的施設も沢山あります。

最初に施設の見学に行かれるのであれば、「スタッフの定員は何名で、現在は何名のスタッフがいるのか」を確認しておくのも一つの手です。

「スタッフがそろっていれば、良いケアを提供できている」とは言い切れませんが、少なくともスタッフがそろっていないと良いケアを提供できる下地があるとは言えません。

スタッフが充足していれば、良いサービスを提供する下地があると判断していいでしょう。

まとめ

今回の記事では、老人ホームの種類と特徴について解説しました。。

・老人ホームは公的施設と民間施設に分けられる

・公的施設は以下の5種類

    特別養護老人ホーム

    介護老人保健施設

    養護老人ホーム

    ケアハウス

    介護療養型施設(介護医療院)

・民間施設は次の6種類

    介護月有料老人ホーム

    住宅型有料老人ホーム

    健康型有料老人ホーム

    サービス付き高齢者向け住宅

    グループホーム

    シニア向け分譲マンション

・費用は公的施設の方が断然安い

・介護度によって入所できる施設は変わってくる

・看取りができる施設とできない施設がある

・スタッフの充実度は施設によって違いがある

 

人生の最晩年を過ごす施設です。

それぞれの老人ホームの特徴を把握した上で、目的にあった施設選びが大切になります。

ケアマネや地域包括支援センターなどの相談窓口を活用したり、見学も行いながら、より良い居場所を見つけてみてください。

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