老人ホームの選び方と探し方のポイントは?
大切な家族を自宅で介護したいものの、認知症などにより家族での介護に限界を感じるケースがあります。介護が必要な家族を預けたいと思うときに浮かんでくるキーワードは「老人ホーム」だと思います。老人ホームといっても何をどのように選んだら良いか、分からない人もいます。この記事では老人ホームの選び方と探し方を徹底解説します。
老人ホームの種類
老人ホームは大きく分けると10種類あります。簡単にその種類や特徴を見てみましょう。
施設の種類 | 対象者 | 特徴 |
特別養護老人ホーム | 介護度3以上 | 排泄や食事、入浴などの日常生活のお世話を受けながら生活をする施設です。 |
介護老人保健施設 | リハビリが必要な方 | リハビリを特徴とし、自宅での生活を目指す施設。原則、一定期間のリハビリ後に退所する必要があります。 |
養護老人ホーム | 65歳以上で自宅で生活できない人 | 生活が自立している方が入所できます。 |
介護療養型医療施設 | 医療ケアが必要な人 | この施設のメリットは医師や看護師が常駐していることです。ただし、医療ケアが必要ない方は退去する場合があります。 |
ケアハウス | 生活が自立しているが生活に不安がある人 | 一般型と介護型があります。介護度が上がると退去する必要があります。 |
介護付き有料老人ホーム | 重度の利用者も入所可能 | 施設によっては看取りまで対応可能です。入所後は退去の心配があまりなく、24時間サービスを受けることができます。 |
住宅型有料老人ホーム | 施設により対象者は異なる | 運営する民間会社によってサービス内容が異なります。比較的軽度の方を受け入れているところもあれば、介護度が高い人が対象の施設や、医療的ケアが必要な方のみを受け入れている施設もあります。介護職員が24時間常駐しています。 |
グループホーム | 認知症の人 | 認知症の専門的ケアを受けながら、他の認知症の方と共同生活をします。施設所在の市区町村の方が対象の施設です。 |
サービス付き高齢者向け住宅 | 自立しているか軽度の介護が必要な人 | 見守りを受けながら生活する賃貸住宅です。介護度が思い方は入居できない場合があります。 |
シニア向け分譲マンション | 高齢者 | 高齢者が暮らすことを目的として建てられた、分譲マンションです。見守りを受けながら生活できるほか、プールなどの共用設備があるマンションもあります。 |
入居する際の費用
老人ホームを選ぶ上で費用は条件の中でも上位にくると思います。それぞれのおおよその月額料金を参考としてお伝えします。
施設の種類 | 費用 |
特別養護老人ホーム | 新型は15万円前後、旧型は10万円前後です。月額料金が低めなので、待機者も多いです。 |
介護老人保健施設 | 部屋の人数によって異なりますが、4人部屋で9〜12万円くらいです。 |
養護老人ホーム | 前年度の収入によって負担額が異なります。月額0〜14万円程度が必要です。詳細は市区町村に尋ねることができます。 |
介護療養型医療施設 | 9〜17万円かかります。 |
ケアハウス | 初期費用が数十万円から数百万円。月額費用が10〜30万円程度のようです。 |
介護付き有料老人ホーム | 初期費用が0〜数百万円。月額費用が15〜30万円程度かかります。 |
住宅型有料老人ホーム | 初期費用が0〜数百万円。月額費用が15〜30万円程度が必要です。 |
グループホーム | 初期費用が0〜数百万円。月額費用が15〜20万円程度かかります。 |
サービス付き高齢者向け住宅 | 初期費用が0〜数十万円。月額費用が10〜30万円程度です。 |
シニア向け分譲マンション | 初期費用が数千万円〜数億円。月額費用が10〜30万円程度です。 |
これらの費用は目安であり、地域や法人によって大きく異なる場合があります。
入居・退去条件や制約
・特別養護老人ホーム
原則、介護度が3以上の方が入所できます。排泄や食事、入浴などの日常生活のお世話を受けながら生活をする施設です。月額料金が比較的安いため、入所希望者が多く入所待機者が多いのも特徴。
・介護老人保健施設
リハビリを特徴としているため、一定期間のリハビリ後に退所する必要があります。
・養護老人ホーム
65歳以上が対象。生活が自立している方が入所できます。
・介護療養型医療施設
医療ケアが必要ない方は退去する場合があります。
・ケアハウス
介護度が上がると退去する必要があります。
・介護付き有料老人ホーム
その施設により条件が異なります。
・住宅型有料老人ホーム
その施設により条件が異なりますが、看取りまで行う施設もあります。
・グループホーム
認知症の方が対象。
・サービス付き高齢者向け住宅
自立できている方や軽度の介護が必要な方が対象方のため、介護度が思い方は入居できない場合があります。
・シニア向け分譲マンション
基本的には自分で生活できる方が対象です。もし介護が必要になった場合は、外部の介護業者に依頼して介護してもらいながら生活を続けることができます。
施設の充実度や使いやすさ
施設によって設備が異なります。介護施設として作られた建物もあれば、別の目的で建てられた住宅を改装して老人ホームとして使用している施設もあります。
車椅子でも入浴できる施設もあります。手すりやトイレなども充実しているかなど、施設の充実度や使いやすさもチェックしましょう。
最近では、Wi-Fiを使うことで、施設にいながら友人とテレビ電話を楽しむことができる施設があります。IT社会でスマホを使っている高齢者も増えているため、確認すると良いでしょう。
入所される方の要望に沿っているかどうか確認した上で、入所するかしないか判断できます。
入居者やスタッフの雰囲気
入居されている方も様々ですが、同じ屋根の下で生活するので、チャックしたいポイントです。入居される方にとってストレスとなる入居者がいないかどうか担当者に尋ねることができます。
スタッフの雰囲気も重要です。スタッフはお互い協力しているでしょうか。仲良く仕事をしているでしょうか。スタッフが固かったり、表情が乏しいようなら注意が必要かもしれません。
プラン通りのサービスが受けられるか
施設への入所を希望している方は、目的があって入居されます。介護保険では、介護プランを作成し、そのプラン通りに介護することが義務付けられています。
プラン通りにサービスを提供する施設もありますが、中には書類上はプランを作成しているものの、サービスの内容がプランと異なる場合があります。プランの内容を職員に周知して介護が行われているか確認しましょう。
食事の傾向や体制
食事は生活の中で重要な位置を占めています。食事によって季節を認知し、美味しい食事はそれだけで幸せを感じるものです。高齢者にとっても食事は重要で、施設に入所することで栄養バランスがとれ、健康状態が改善されたケースもお聞きしました。
介護施設の中には、季節の食材を取り入れたり、私たちの生活に馴染みのある慣習を取り入れている施設があります。
食事の体制は、施設職員が心を込めて毎食を提供している施設があり、家庭的な雰囲気を楽しめます。また、業者に委託して惣菜を提供することで、確実に栄養バランスを確保している場合もあります。
中には、利用者の希望を取り入れて食事を提供する日を決めたり、時々、食べたくなるインスタント食品を提供しているを提供して入所されている方に喜ばれているケースもあります。
食事は健康や喜びと繋がっているので、確認して入所したいポイントと言えるでしょう。
その他に確認しておくと良いポイント
費用や体制だけでなく、知っておくと良い老人ホームを選ぶポイントがあります。いくつか見てみましょう。
レクリエーションやサークル活動
大切な家族を預けるため、入居者が楽しいと感じる時間を過ごしてほしいと思います。レクレーションは単調でしょうか。どのようなサークル活動がなされているでしょうか。
施設によってはできるだけ楽しく喜びを感じるために工夫しているところがあります。外部から劇団を呼んだり、自宅で行っていた趣味を行える老人ホームもあるでしょう。
レクリエーションやサークル活動も確認して、入居する家族が寂しさをあまり感じないように配慮することができます。
持ち込みのできる私物
施設によっては、共同生活スペースにテレビがあるものの、個室にテレビが持ち込み可能で夜間も眠れない時にテレビを見ることができる施設があります。自分が見たいテレビがある人にはおすすめです。
テレビ以外にも本やスマートフォン、タブレットなど持ち込みたい場合もあるようです。自分らしく生活するために必要なものが持ち込み可能かどうかも、見学の時に確認しましょう。
医療体制の充実度
施設の特徴として医師や看護師が常駐している施設もありますが、ほとんどの施設では医師や看護師は常駐していません。施設の中には協力医療機関と契約して訪問診療を受けられるように体制を整えているところがあります。また、訪問看護を取り入れている施設もあります。
いつ体調が悪くなるか分からないため、緊急時に医師が駆けつけるように体制が整えられているか確認しましょう。また、看護師が24時間対応している施設もあります。大切な家族が必要な医療を受けられる体制を整えているかどうかもチェックポイントです。
リハビリ体制
体の機能を維持したり、より動けるようになるために、リハビリを希望する方もおられます。施設によっては訪問リハビリを使って、専門の方からリハビリを受けられるようにして、体の機能を維持できるように協力してくれる場合があります。
介護老人保健施設のように、リハビリを目的とした施設があるため、リハビリしてもう一度、前のような生活がしたい場合、選択肢に含められます。
リハビリが希望の場合は、施設の特徴や体制を確認して、入所を決定できます。
まとめ
老人ホームといっても様々な特徴があります。施設によって金額や体制も異なります。入居するご家族が自分らしく暮らすために、どんなポイントで選ぶか参考になればと思います。
実際に家族が入所しなければいけない場合、入所可能な施設として選択できるのは、限られた施設だと思います。しかし、上記の内容を知っているかどうかで、限られた中でもより合った施設を選択できると思います。
費用の面でも、体制の面でも後悔することなく老人ホームを選ぶことは、入居される方だけではなく、関係する家族にとっても重要です。ぜひ、ポイントを見極めて良い老人ホームを選びましょう。